午後2時過ぎ、今日は雨が降ると言ってたのに、多少雲はあるもののうだるような暑さ。たまらずシャワーを浴びてバスタオル一枚で出て来たら居間で寝ていたマルコの姿が見えない。ひょいと見たら玄関との境の襖が開いている。

まさかと思って玄関に出たら、玄関の網戸も開いていた。

ガーンとショックを受ける。まさかまた脱走されるとは。用心していたつもりだったのに。慌てて着替えようと居間に戻ったら、庭の松の木の下をマルコが嗅ぎまわっているのが見える。急いで着替え、おやつを手にそっと出ておびきよせようとするが、マルコ、ぱっと身を翻し門の外に出てしまい、後は前回同様駆け去って行く。
その瞬間、私は追いかけることは諦める。足で追いかけるのは前回で懲りた。絶対に捕まえることが出来ないのは思い知らされていたので車で追いかけることにする。そもそもこの炎天下76歳が追いかけたら死ぬ。
車で出た時にはもはやマルコの影も形も見えないが、私は慌ててはいなかった。マルコのお気に入りのコースがわかっているからだ。最近はおツルさんに餌やりをするためにおツルさんの出没地方面へ散歩しているのだが、分かれ道に来るとマルコは以前好きだったコースにいまでも行こうとしていたのだ。
車をそちらへ走らせると案の定保育園の手前を行くマルコを発見する。前回、マルコを追いかけてくれた人がゆっくり後をつけて行きなさいと言ってたのを思い出しゆっくり追うが、マルコ、振り返って私が運転していると知ったらすぐにスピードを上げる。
「ばかやろー、話が違うじゃないか」
「この恩知らずめ。毎日朝夕散歩に行き、このあたりでは最長散歩時間を記録しているのに。お前ほど幸せな犬はいないのだぞ。何の不満があるのだ」
罵りながら追うもたちまち見失う。そこらを走り回ったがどこにも見当たらない。炎天下歩いている人もいない。携帯も免許証も持っていないことに気がつき一旦家に帰る。
気分はどんよりである。この前みたいに2、3時間、車とは言え一番暑い時に犬をさがして走り回るのかと思うともう目の前が真っ暗。絶望しかない。ため息すら出なかった。でも探さないといけない。娘たちにまた逃げられたと言ったら何と言われるか。さがしても携帯をどこへ置いたかわからない。焦って探し回っていてひょいと庭を見たらマルコがひょこひょこ庭に入って来る。
「えっ!」
マルコ、そのまま玄関に入って来る。
私は飛び出し慌てて玄関を締める。
20分の脱走!
なぜこんなに早く戻って来たのか?
理由は分かっている。暑かったのだ。この炎天下、舗装道路を歩き、マルコも参ったのだ。それしか考えられない。おやつと水をたっぷりやりながら笑った。「思い知ったか。馬鹿野郎」
成果も一つあった。脱走しても戻って来ることが分かったのだ。
だからと言って、脱走を繰返してもらっては困る。ほんとに今回が最後にしないといけない。
実は前回脱走した後で、襖が開かないようにつっかい棒をみつくろっていたのだが、切るのが面倒くさくてそのまま放置していたのだ。明日には必ずのこぎりで切ってつっかい棒をする。
玄関も網戸は建付けが悪くて犬では開けられないと思っていたのだが、暑くても網戸はやめてきちんと戸締まりすることにした。
まだ本格的な夏が来る前なのに、暑い午後だった。
すっかり予定が狂って、出雲演劇鑑賞会に行く気も起こらなかった。5000円も払っていたのに。

まさかと思って玄関に出たら、玄関の網戸も開いていた。

ガーンとショックを受ける。まさかまた脱走されるとは。用心していたつもりだったのに。慌てて着替えようと居間に戻ったら、庭の松の木の下をマルコが嗅ぎまわっているのが見える。急いで着替え、おやつを手にそっと出ておびきよせようとするが、マルコ、ぱっと身を翻し門の外に出てしまい、後は前回同様駆け去って行く。
その瞬間、私は追いかけることは諦める。足で追いかけるのは前回で懲りた。絶対に捕まえることが出来ないのは思い知らされていたので車で追いかけることにする。そもそもこの炎天下76歳が追いかけたら死ぬ。
車で出た時にはもはやマルコの影も形も見えないが、私は慌ててはいなかった。マルコのお気に入りのコースがわかっているからだ。最近はおツルさんに餌やりをするためにおツルさんの出没地方面へ散歩しているのだが、分かれ道に来るとマルコは以前好きだったコースにいまでも行こうとしていたのだ。
車をそちらへ走らせると案の定保育園の手前を行くマルコを発見する。前回、マルコを追いかけてくれた人がゆっくり後をつけて行きなさいと言ってたのを思い出しゆっくり追うが、マルコ、振り返って私が運転していると知ったらすぐにスピードを上げる。
「ばかやろー、話が違うじゃないか」
「この恩知らずめ。毎日朝夕散歩に行き、このあたりでは最長散歩時間を記録しているのに。お前ほど幸せな犬はいないのだぞ。何の不満があるのだ」
罵りながら追うもたちまち見失う。そこらを走り回ったがどこにも見当たらない。炎天下歩いている人もいない。携帯も免許証も持っていないことに気がつき一旦家に帰る。
気分はどんよりである。この前みたいに2、3時間、車とは言え一番暑い時に犬をさがして走り回るのかと思うともう目の前が真っ暗。絶望しかない。ため息すら出なかった。でも探さないといけない。娘たちにまた逃げられたと言ったら何と言われるか。さがしても携帯をどこへ置いたかわからない。焦って探し回っていてひょいと庭を見たらマルコがひょこひょこ庭に入って来る。
「えっ!」
マルコ、そのまま玄関に入って来る。
私は飛び出し慌てて玄関を締める。
20分の脱走!
なぜこんなに早く戻って来たのか?
理由は分かっている。暑かったのだ。この炎天下、舗装道路を歩き、マルコも参ったのだ。それしか考えられない。おやつと水をたっぷりやりながら笑った。「思い知ったか。馬鹿野郎」
成果も一つあった。脱走しても戻って来ることが分かったのだ。
だからと言って、脱走を繰返してもらっては困る。ほんとに今回が最後にしないといけない。
実は前回脱走した後で、襖が開かないようにつっかい棒をみつくろっていたのだが、切るのが面倒くさくてそのまま放置していたのだ。明日には必ずのこぎりで切ってつっかい棒をする。
玄関も網戸は建付けが悪くて犬では開けられないと思っていたのだが、暑くても網戸はやめてきちんと戸締まりすることにした。
まだ本格的な夏が来る前なのに、暑い午後だった。
すっかり予定が狂って、出雲演劇鑑賞会に行く気も起こらなかった。5000円も払っていたのに。
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