早いもので妻の一周忌が来た。娘と二人でするつもりでいたら、娘が来れなくなったので私一人でする。
娘は東京でオンラインで参加する。スマホで映した動画を送り、娘はその動画を見ながら和尚さんの読経に合わせて拝む。事情があって来れなくなった者には有難い。世の中便利になったものだが、二歳になる孫が風邪を引いていてひっきりなしに咳をしていて、その咳が聞こえて来るのは和尚さんには了承済み。終ったら娘もスマホから御礼を言う。
PXL_20230728_111902189PXL_20230728_073725193
胡蝶蘭は妻の高校時代の友人が送って下さったもの。一人だけの一周忌は寂しいと思われるかもしれないが自分はそうは思わない。華やかなものが好きだった妻のために贈ってくださる友人がいる。看取りから葬儀、一周忌と自分が一人することは周知して貰っているので遠く離れた所から手を合わせてくれていると思う。忘れている人がいてもそれでいい。何かの時に思い出してもらえれば。
仏膳は今朝作った。と言っても、煮しめと胡麻和えと香の物は総菜を買って来た。朝作ったのは味噌汁だけ。それだけでも男にとっては何気に疲れる。
一人でも一周忌はきちんとやる。手抜きしないと決めていて、一週間くらい前から庭掃除や墓掃除などを少しづつやって来た。連日暑いので草抜きなど長時間できないのだ。早朝や夕方やるのだが、朝も7時になるともう暑くて外にはいられない。それくらい暑かった。
PXL_20230728_050242099
さすがに疲れたので、今日の昼は一人直会(なおらい)で羽根屋で割子そば六段も食う。その後、妻を分骨している妻の母の永代供養墓にお参りに行く。毎日、今日が一番暑いと言っていたが、今日が一番暑かった。こんな時間に表に出ることはなかったのでよけいにそう感じたのかもしれない。
3時過ぎころから遠雷が聞こえていたが、7時過ぎ雷が近づいて来て突如激しい雨になる。にわかに涼しくなる。雨も今の時間は止んだようだ。去年の今頃は妻が息を引き取った頃だと思い出しながらこの記事を書いている。

妻の言葉・再会語録4(通算41)

2020年はコロナ騒動が始まる年である。これまでは私も弁当を買って行き、一緒に昼ご飯を食べていたのだが、もうこの頃は昼食の介助をしていて自分は食べていないことが分かる。

2020.1.26

「目が見えるといいな」

特養に昼食介助に行った時、ふと漏らした言葉。この時はよく見えたのがよかったと言う意味合いに取れた。しばらく前からものが見えなくなっていて、目に関することで喋ったのは初めてだったので、この言葉にどきっとさせられた。

2020.2.2

昼食介助で好物のメンチカツを小さく切っていたら

「どこ、どこにあるの」

テーブルの上の左斜め前で切っているのにわからないようだ。

フォークに差して目の前においてもわからないようだ。どのように見えているのか手をのばしても違う場所をさまよっている。フォークを手の近くに持って行ってもうまくつかめない。にぎらせてやっても口にうまく運ぶことが出来ず唇の下の方に運ぶ。

どこまで見えているのか。

2020.2.5

私に向かって「おとうさん」と、言って

「おとうさんと言うようになったよ。〇〇ちゃん(娘)たちもおとうさんと言う?」

※私のことはこの頃も「おとうさん」と言ってたのに妙なことを言う。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「早く四つ角(川尻)まがらないかな。まがるとすぐだから」

「ハリーアップ ゴートウ 外城(川尻)。ママちゃん、乗って来なかったね」

※子供の頃、バスに乗って自宅のある外城へ戻る時の記憶。母親はこのバスに乗って戻って来たのだろう。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

日光浴していて

「気持ちいい、ベリー、カンフォタブル」

※特養で昼食前に車椅子散歩していた時のこと。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

昼食介助していて

「おじいちゃん、どこのおじいちゃんですか」

はじめて「お爺ちゃん」と呼ばれる。ショック。

「日本国民ですか」

※何人に見えたのだろう。

 

2020.2.9

担当の職員さんから、とても食が細くなった。本当に食べなくなり、リンゴも残してしまうと言う。(リンゴは以前は8分の12個食べていたのに、その1個を残す)

足をマッサージしていると、半分寝ぼけて

「墓屋さん連れてって」

「どうするの?」

「ママちゃんのお墓を買うの」

こんなことを言うのは初めて。ママちゃんが死んだことは教えていないので、母親が死んだと思う気持ちが芽生えたのだろうか。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「おうち帰りましょう」「どうするの?」

「お金とって来るの」「お金どうするの」

「卵を買うの。卵と白菜を買うの」

脈絡が飛んで

「目薬さしてください。お願いします。先生が暇な時に」

「野菜買って帰ったら、先生上がってください」

脈絡が飛んで

「早く目薬さしてください。いつも嫌がるのに、今日は我慢する。目こんなに開いている」

 

2020.2.12

「ヒロアキ兄ちゃんと私ならいい子ができるだろうね」

「〇〇(息子)と△△(娘)がいるよ」

「あっ、そうだった。かわいいもんね」

2020.2.19

肩を揉みながら「モンダミン…」とふざけると、揉んでいる手を噛むふりをして

「カンダミンだよ」

※こういう返しをしてくれた時はほっとしたものだ。いかにも妻らしくて。

2020.2.22

「お前死ねよ」

「死んでどうする」

「補償金を貰うんだ。家族どうにか暮らして行くから、保険金何度も貰えるようにするんだ」

※このへんも妻らしくて笑って聞いていた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「自分で死ねよ。死ねないんだろう。誰かに殺して貰えよ」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「今日、私死んでゆくんだ。みんな元気に過ごせよ」

※笑って聞いてはいられなくなるようなことも言ったものだ。

・・・・・・・・・・・・・・・

「焼酎買ってこい、そしたらグーグー寝てやる」