20日。タミフル5日目。今日の夕食後に服用してタミフル終了。儂はもう2日目ぐらいから快方に向かっていて、午前中の「風土記講義」にも行こうかと思ったぐらいであったが、先生からはタミフルを飲み終わっても、最低2日は外出を止められていたので断腸の思いで休む。無欠席記録が途絶えるのが悔しかったが、やっぱりモラルに反することは出来ない。もっとも出席した所で、いつものように楽しく、知的好奇心旺盛に先生の話を集中して聞いてはいられなかったと思う。
父の治り具合が思わしくなく、気が重く、講義どころではなかったであろうと想像がついたからである。
18日から、がくっと食欲が落ちる。熱は下がり、快方に向かっていると安心したのも一時のことで、夕食にはリンゴのすりおろしを食べさせるので精一杯。
19日も、20日の今日も、食べ物を受け付けないと言う。去年の9月に入院する前の症状と同じ。何とか薬をジュースに溶いたり、エンシュアリキッドに溶いたりして飲ませるのがやっと。
インフルエンザの薬で体調が悪いのか、それとも老衰的に体力が落ちて具合が悪いのか儂らでは判断が付かない。妹が訪問医に聞いてくれと言うので、明朝相談することにする。
体力は落ちて来て、ポータブルトイレに行きたくても、もうベッドから身体を起こすことが出来ないので、気配がしたら助けに行く。歩行器で歩くのもおぼつかない。
紙パンツの中にパットを敷いているのだが、歩行器につかまって立たせている間に穿かせてやり、ズボンも穿かせなければならぬ。
今日も一日中隣のダイニングに居て、親父のトイレ行の度に付き合う。
夜、オムツにするとほっとする。ところが本人はオムツにされたのを忘れて、起きてトイレに行こうとする。オムツをしたのだからトイレには行けないと因果を含めるのも辛いものがあるが、こればかりは我慢してもらうしかない。
本当は昼間もオムツにしたいのだが、そうするとわずかばかり残った歩行能力が消滅しそうで、決断できないところなのである。
妹が親父の気持ちを聞き出したところによると、月に何日かはショートステイに行ってもいい、後はヘルパーさんの世話になると言ったらしい。
施設に入ることは頭にないようだ。死ぬまで家に居たいのであろう。
しかし、父は何も分かっていない。ショートステイに行ったら、寝たきりになってしまうのは確実なことを。ヘルパーさんだって、一日中付き添ってくれるわけではないことを。
儂の知り合いの女性は女手一つで、自宅介護で母親を看取った。この人は若くして御主人を亡くし、子育てをし、父も母も最期まで世話をしたのだ。頭が下がる。
この他にも過酷な介護をしている人の話は幾つも耳にする。儂なんか一日で音を上げて逃げ出したくなるようなことをしている人はこの世に一杯いる。
そういう事例を知っているだけに、現状に弱音を吐いてはいられないと思ってはいる。家に居たいと言う親の気持ちは無下には出来ない。
しかし、今のような生活をこれからずっと続けるのかと言われると…
妻の外泊は出来なくなる。それでもいいのか。親父の面倒は最後まで見たとしても、その頃はお袋が今以上に悪くなっているのは間違いない。
儂にもやりたいことがあるのだけれど、諦めなければならないのか。
なるようにしかならん。兎にも角にも、明日、訪問の先生に相談してからでないと。

