
第五章までは過去に連載した原稿に手を入れて一章ずつ発売して来ましたが、その五章を前月発売し、今月ようやく六章の発売に漕ぎつけました。ここから先は未発表の書下ろしになります。すでに九章までは書きあがっていて、今は最終章十章のラストにかかっていて何とか今月中に書き終えようとシャカリキになっているところです。七章から十章までももう一度見直しますので、表紙作成の時間も考えると年内12月には最終章が発表できると思います。今ははるけくもここまで来たかと感慨に浸りながらラストに向かって書いているところです。本当にこんな小説書けるのだろうか、途中で行き詰まってしまうのではないかと不安を抱えて書いていた10年が今となっては嘘のようです。今は本当に楽しいです。
六章あらすじ
8年ぶりの都。辰敬は土倉泉覚坊の前に立っていた。想像を絶する繁盛ぶりに辰敬は圧倒される。なんといちが泉覚坊の女主人になっていたのだ。いちは病に倒れた高利貸しを座敷牢に閉じ込めて復讐すると、高利貸しにとって代わったのである。美貌と才知にものを言わせ、幕府や公家に食い込み今や都でも5本の指に入るほどの大金持ちになったと言うが評判は悪いものばかりだった。いちは別世界の住人になっていた。
辰敬は恩師加田公典を訪ねるが懐かしいぼろ屋敷は空き地に変わっていた。辰敬が出雲に戻った年に公典との生活に疲れた妻が火をつけ、家は焼け落ち妻も焼死したという。加田が一生かけて書き貯めた宮中の記録も灰になり、爾来誰も加田の姿を見た者はいないと言う。
途方に暮れた辰敬は蹴鞠が縁で公家の若者飛鳥井雅文と知り合う。飛鳥井家は蹴鞠師範で名の知れた公家で、二人は意気投合する。辰敬が加田公典を探していると知ると協力を約束し、公典の屋敷の裏に住んでいた山伏が知っているはずと突き止めてくれた。辰敬は山伏探しの旅に出るが見つけることは出来なかった。
都に戻った辰敬は飛鳥井家から雅文探しを依頼される。雅文は蹴鞠師範の旅に出たまま行方不明になっていた。休む間もなく旅に出る辰敬。
辰敬は下剋上で成り上がろうとする若き国人領主浅井亮政と出会う。南近江の名門守護大名六角氏の若き棟梁六角定頼の知己を得る。さらにはやっと見つけた雅文を救うために甲賀の地侍と渡り合い、そこからまた戦に負けて奴隷にされた百姓を救う旅を続ける。戦国に女の幸せを求める女、戦国に生きる母と子、さまざまな出会いを経て、ついに辰敬は加田公典を見つけた。だが公典はすでに気が狂っていた。
「先生、多胡辰敬です。たった一人のあなたの弟子です」
涙の訴えも公典には通じなかった。
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