イメージ 15月9日
特養で訪問の先生に妻の歯石取りをしてもらう。帰郷してすぐに歯が悪くなり、何度も何度も歯医者に通い、親知らずを抜いた時は県立中央病院に一晩入院した。
歯医者通いは私のトラウマになっていたので、特養に入所してからも歯の具合がずっと気になっていた。お願いして検査してもらった。訪問診療なので、病院のように診療用の椅子がない。車椅子の診療でどうかなと心配していたら、案の定、痛くないはずなのに「痛い」を連発して、看護師さんをびびらせてしまう。先生も初めてなので無理しないようにと言うことで、少し歯垢を取って終わり。でも、歯石は少なく思った以上に奇麗だと言われてほっとする。後二、三回は掛かるだろうが、これからは半年ごとに検査してもらうことを頼む。帰郷してから、歯磨き後にコンクール液で口をすすいでいる。この効果も少しはあるのかもしれない。私もやる時は嫌がられるくらいに徹底的にやるからな。そうしないと、この上、歯まで悪くなったら悲惨である。脳出血は防いでやれなかったから、せめて歯ぐらい守ってやらねばと思う。
イメージ 2
5月12日
原則として、週2回のお昼、日曜日には必ず行き、後は水曜か木曜のどちらかに顔出しすることにしている。13日の日曜に用事が出来たので、土曜日の今日顔を出す。
14日の月曜日から外泊で戻って来るから、そんなに密に顔を出さなくてもいいと言えばいいのだが、(畑もあるし、小説の直しもひいひい言いながらやっているのだから、さぼる口実はいくらもある)このところ、ごく自然体で通っている自分に気が付いている。
以前は、「今日も行くぞ」とか、「今日も行かねば」と、気合を入れて通っていたものだが、通っているうちに見舞う方も身も心も楽になる術を得たような気がする。
たとえば11時頃一緒に食べる弁当を買って行くと、まずベッドに上がり込み、ベッドの上に座り込んで、妻の足のマッサージをする。適当に触っているだけのマッサージで良い。本格的に素人が揉むと痛がる。30分ぐらい下らん話をしながら、ただ揉んだりさすったりしているだけで良い。
「どうしてお前なんかと結婚したんだろう。私が小学生だから騙されたのかな」
なんて、今日は言っていた。
これが、マッサージする方も実に楽でいいのだ。見舞う方も楽にならないと、言い見舞いも出来ないということか。
11時半になったら、車椅子に移し、散歩する。
「♪緑のそよ風いい日だね~」思わず歌が出る、そんな陽気だった。
儂はここまでしか歌えない。どんな歌も最初の一行ぐらいしか歌えない。子供の頃から次を覚えようという気がまるでない人間だったのである。妻はすごい。
「♪ちょうちょもひらひら豆の花 七色畑に妹のナンチャラカンチャラ~」
ゼーンブ歌えるから本当に呆れる。
この後、一緒にご飯を食べ、歯を磨いて(嫌がられながら)帰るのだが、この一時間半を過ごすことで、少しだけだが人間らしい道へ戻れたような気がする。だから特養へ来ることがある種の救済になっているのかも。外人は必ず教会に行くが、私たちには教会のような存在がない。私にとっての特養はそういう存在なのかもと思う。
そう思う大きな理由はもう一つある。それは仲間の存在だ。私同様妻の見舞いをしている仲間がいる。その人は毎日来ている。行けばたいてい車椅子の妻を押すその人と会える。「やあ」と笑って手を上げる。今の私にとって特養はそういう場所である。

語録(12)
「私黙って頑張りすぎたから足が悪くなった」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「今日はお父さんと水かけっこして遊びたい」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
トイレ誘導して
「いつも連れて行ってもらうと、お父さん、大変だなあと思っているよ」
2006.6.2
TVのニュース。地震で妻を失った夫を見て
「お父さんなんか、いつまでもああやって祈っているんだろうね」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
モモ(豆柴)が鳴いたら
「モモ、お母さんだって表へ出たいんだから」
2006.6.3
若い役者を見て
「可愛がってあげたい。唇がうすくて。チュッしてあげたい」
2006.6.4
トイレ誘導して
「ありがとう、ありがとう。何回言ってもありがとう」
「何回言ってもありがとうていい言葉だね」
「モモちゃん、ほめられちゃったよ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「お父さん、女が出来たら、美里ちゃん(と言う娘がいるつもり)粗末にするでしょう」
「私もママちゃんが男が出来たら、粗末にしたからよく分かるの」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「お父さん、そうやってものを書いているといい男ね。昔の方が鼻が高かったね」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「私、最近タバコ吸わないでしょ。タバコやめられるような気がして来た」
(病気になる前は吸っていた。病気になってからはやめている)
2006.6.5
「いいわね、思い出のある人は。私なんか何もない。私なんかお父さんにキスしてもらったことも覚えてない」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「私、病気してから記憶がおかしくなった」
2006.6.7
右手で痛む方の左の足をさすり
「お父さんが触るから、痛くないようもんでおくの」
「お父さん、夢に向かって頑張ってね。小説頑張ってね。本出たら走って買いに行くから」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「知りもしないのに、片足ばんばん触らないで(痛むから)動かすよと言って、動かして」
知ったかぶりでマッサージをするなと言う事
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「冷たいお茶があるよ」
「ありがとう。愛されてる気がする」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「お父さんもごろんと膝に寝転がってもいいよ。甘えていいよ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「お父さんがダンスしてくれるようになって嬉しいよ。そこで一緒に寝てても、ダンスしてるような気がする」
2006.6.12
トイレ誘導して
「お父さん、全然苦にしないでやってくれる。嫌じゃないの」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「お父さんも人がいいねえ、こんな車椅子押して」
2006.6.22
「〇〇(息子)がお父さんみたいに、金持ちでもなく、貧乏でもなく、頭のいい人と知り合ったらいい。〇〇はああ見えて気遣いだから」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「お父さんがひょいと出て行くような気がする。そうしたら〇〇(息子)も〇〇(娘)も強くなる」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
介護していて
「何か言ったら、ごめんと言わず、ははははと笑う」
2006.6.23
「何で俺が〇〇おじちゃんなんだよ」
「だってそうなんだもん」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「お父さん、見てると、ご飯に見えて来る(笑って)」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「私も静養かねて外国へ行きたい。お父さん、お金入ったら連れて行ってね」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「自分が輝いている人は人も輝かせる。〇〇(息子)と〇〇(娘)は輝いているから。私が輝かせているの」
2006.6.24
「うちも野菜作ろう。子供たちに送ってやろう」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「私、あなたに先立たれたらどうしようか。誰も教えてくれないから、生きているうちに教えて」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ヒデキ兄ちゃんの所へ連れて行って。向こうの方が広いし、楽しいし、冷蔵庫も大きいし」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「わたしも年取ったら一人で暮らしたい。ざわざわしたところから離れて。犬といっしょでもいいよ」
2006.6.25
トイレで
「お父さんが見ていると、おしこが恥ずかしがって出ない」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「お父さん優しいと、ヒロアキ兄ちゃんと間違えることある」
2006.6.26
「お父さん、しばらく見ない間に年取ったね。しわしわよ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
私が「洗濯物干して来る」と言うと
「どうぞ、いいね。私、ここにいたらだらずになってしまう」
※東京にいるのに出雲弁が出る。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「背中洗って貰ったり、擦ってもらうのがくせになった。気持ちいいもの」
2006.6.27
「みーこおばちゃんが見てるの。博久さんの料理にいつあきるか。私、あきないよ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
TVでがん患者の大会を見て
「お母さん、こういうの行くよ。モモちゃん、留守番してなさい」
「歩けるようになるかな」
「なるよ」
「ありがとう、でもびっこだね」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ベッドから
「おりるの」
「もう遅いから寝てなさい」
「そうやって、はがいじめするんだから」