昼食後、母に差し入れ。勿論会えず。渡すだけ。のどの痛みは取れ、熱も出なかった由。届けたのは好物の干し柿一個と母宛の年賀状と女性週刊誌。返事を書けるように年賀はがきを入れておいたが果たして書けるやら。担当職員さんに手伝って欲しいと頼んでおいたが・・・。認知症気味で92歳なのになぜか週刊誌や新聞は読もうとするのでこのところ女性週刊誌を毎週届けている。皇室の記事が好きだ。先週は「小室家の親戚になりたくない皇族」の記事。今週は「追い出された夫、自死したウンヌン」なる記事。
その後、3時に面会予約している妻の特養へ行く。
玄関を入ったコーナーと玄関ホールを仕切るガラス戸越しに面会をするように工夫されている。自動ドアが閉まれば完全に遮断される。お互いにパソコンやタブレットのマイク機能を使って話が出来る。よくこんなことを考えたなあと感心すると同時に施設を預かる人たちはこんな努力をしていることを知って欲しい。正月に会いたい家族や入所者の為に職員さんも正月返上で働いているのだ。
儂は椅子に座って車椅子で連れて来られた妻と話すのだが、妻はパソコンに顔を近づけて話そうとしないので半分程度しか聞き取れない。
娘に伝えることはないかと聞くと「きれいになった」と言い、「お正月カットした」のかどうのこうの言い、
「上手にできた。お父さんは何でもできる。料理も出来る」と、言う。どうやら儂がカットもしたようなことを言ったようだ。
特養でのことを問うと、
「世話になっている。お風呂いれてもらって、きれいになった」と、言う。
話が飛んで
「ナポリ」へ行ったのか行くのかどうのこうの話になり、「ナポリ」とは何ぞやと問うと、
「四つ角」と言う。
ぴんと閃く。妻が「四つ角」と言うのは、熊本の地元川尻のこと。
「ナポリ」は何かのお店の名前だ。
「(娘)と(息子)が来るの、(息子)がまたいい男になったの」
その後、今日は熊本空港から出雲空港へ行く話ななる。
「熊本空港へ飛ばして行ってよ。パイロットに出雲と言って、出雲でおろして貰えばわかるの」
「おぞうに食べた? おいしかった? お父さんはお母ちゃん(儂の母)が作ったの。おいしいよ、お母ちゃんは。よかったね」
「出雲では飛行場から自分の家へ行くのよ」
電話番号を言う。
「お母ちゃんの住んでるとこ。(娘)と(息子)を乗せて連れてってもらえばいい。お母ちゃんに何時に着くからと電話しろ。お母ちゃん、喜んで迎えに来るから。御自慢のハンドルで連れて帰ってと言ってよ。分かってんの?早く電話かけて」
「電話すると言ったら早く来ないかなあ」
「かかったの? コロナにはかかってない? 彼氏からうつされたんでしょ」
最後の二行はどうしてこんなセリフになったのかよく分からない。
機械を通さなくても、昔のようにすぐ近くで普通に話せるように早くなって欲しいものだと痛切に思う。
口元に耳を近づければ妻もそれに応じてそれなりに話してくれたのだ。以前は。
語録(27)
2008.3.9
(二階に向かって)
「早く降りて食べに来なさい」
「誰に言ってるの」
「〇〇おばちゃんとママちゃん」
「ここは東京だよ。ここにはいないでしょ」
「さっきまでいたよ」
・・・・・・・・・・・・・・
(TVで小さい子を見て)
「可愛いね、今度ああいう子が来るよ。お父さんに似て」
2008.3.27
(何か言うので)
「ちょっと待って」
「いいわよ。手術しても何もしてやらないよ」
・・・・・・・・・・・・・・
(手術して足が不自由になった娘に)
「〇〇ちゃん、びっこひいて歩かないで」
娘「そんな……」
「へんなくせがつくから」
娘「……」
「きびしく言ってないよね。普通に言ってるよね」
・・・・・・・・・・・・・・・・・
(夜)
「早く下げて(車椅子を)ベッドに連れてって」
「どうするの」
「車に乗せてもらってデパートに行くの」
「7時だよ、閉まってるよ」
「7時半までやってるの」
・・・・・・・・・・・・・・・
「このままラーメン食べに行ったら幸せなんです。そして、お風呂に入ったら背中を流してあげます。前も流してあげます」
2008.3.28
(パット交換していて)
「痛いと叩くよ」と、叩かれて、
「ありがとう」と、耳たぶをつままれもみもみされる。
2008.3.29
(TVを見ていて)
「可愛いね、今度あんな子が来るといいね」
2008.4.1
(足マッサージしていると)
「ああ、気持ちいい。もう一本折れてもいいくらい」
2008.4.2
「私、夢の中で呼び寄せてもらっているよ。パパちゃん、呼んでもらってるよ。夢の中で」
2008.4.7
「左手ぼろぼろに折れてるの。骨接ぎさんに行ったらなおるかな」
腕の痛みは骨折の所為だと思っている
2008.4.9
(夜、足マッサージをしていたら、しきりに右手でサインする。動かない左手を持ち上げようとする)
「わかった?サンキューとやったの」
(指で3と9を示そうとしていたのである)
2008.4.25
(足を揉んでいると)
「わあ、手が冷たい、手が冷たい。私の足、暖かくかんじるでしょ」
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(夕方)
「お父さん、これから海へ行こう。誰もいない海へ二人だけで行こう」
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「心配になって来た。私、会社に行くようになったら、一日中、TVみてねてるんじゃないかと」
2008.4.29
「私だけなんでパパちゃんいないのか寂しかったよ。一番いやだったのは運動会。親子競技なんかあるでしょ」
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(夜、両足の裏を揉む)
「ありがとう。気持ちよくなってきた。右はあたたかくなるけど、左はあたたかくならないね。やっぱりマヒしてるんだ」
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