3月7日に昼食介護の面会に行ったのが最後で、その日から面会が禁止になり、今日でちょうど2ヶ月。この間、時々看護士さんから体調などの報告あり。軽い風邪に罹ったり、食欲不振、水分補給のために点滴をしたことが2回。儂は週一回のペースで妻の好物を差入れして来た。さすがに面会規制も長くなったので、施設もスマホで面会が出来るように手配してくれる。それが、5月4日のこと。大勢面会するので一人10分。妻はスマホを持って話すことは出来ないので、スタッフ二人が付きっ切りで世話をしてくれた。
画面に現れた妻を見た途端胸がしぼむ。そこにいたのは病人のようなやつれた妻であった。2ヶ月会わない間に随分痩せたなあと自分でも顔が暗くなるのが分かる。化粧というものを十数年間殆どしたことがない。乳液類を付けるだけだが、それも毎日つけているわけではない。頭髪もパーマなどかけてはいない。手入れが大変なので短くカットしているだけ。老いても気品のある女性はいくらもいるが、そもそも化粧も肌の手入れもしないし、食生活も満足に出来ない身なのだから、そのようなものを望んではいけないのだろうがやっぱり辛くて悲しい。これが病で障害を負った者の老後の現実なのだ。
スマホの画面を見せて貰っているのだが、よく見えてはいないようで、かろうじて声だけはわかるような反応を見せる。喋っていることもスタッフが補足してくれてようやくわかる。ほとんどまともな会話にならず。本人も車椅子に座っているのが辛いのか姿勢を保っていることができなくなる。首も壊れた人形のように揺れる。儂の声だけは理解したようなので、コロナが終わったらすぐに行くからと励まして打ち切る。時計を見たら7分も喋っていなかった。
以前のように直接会えば違うと思うのだが、非常事態宣言は延長されたが、いつになったら面会できるやら。

ところで、この二、三日で急にイチゴの生育がよくなる。沢山熟すようになった。
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見栄えのいいやつだけを選んで7日の朝、特養に差し入れに行く。妻のユニットのスタッフや入所者仲間に食べてもらいたくて。一人四個ずつぐらいしか食べられないかもしれないが、スタッフへの感謝の気持ちを伝えたくて。

以下、超久しぶりの語録(22)。在宅介護で大変だったけれど、妻の言葉に思わずニタッと笑った頃。


2007.6.2

「いやだなあ、お父さんがあんなにハゲたら」

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「馬には乗ってみよ、人には添ってみよ。お父さんに添ってみてよかったよ。こんなに楽しい思いさせてもらって。さあ、帰って、カレー作ろう」

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二階で音がして。子供部屋がある。

「○○(息子)、駅まで送ってやるよ。○○、学校行くなら準備しなさい。○○君、11時出発だからね。お父さん、言っといて」

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「お父さん、帰りにグラウンドに連れてってよ。○○ちゃん(娘)のやってるところ見たいから」

2007.6.5

(美味しいものを食べて)

「口の中が喜んでいる」

※うまいこと言うなあと感心した。この言葉は印象に残って覚えている。

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「痛い」

「……」

「早く、ごめん、ごめんと言え。そしたら許してやる」

2007.6.6

(歯みがきの準備をしていると)

「モモちゃん、お母さん、こんなに幸せなんだよ」

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53○○―37○○てなんだっけ」

「うちの電話番号だよ」

「そうか」

2007.6.7

(お茶をいれてやった時)

「人が幸せと感じる時はみな違うけど、私はいま幸せよ。モモちゃん」

2007.6.9

「お父さんが好きだったころ、牛にだって言いたかったよ。好きな人いるって?私、誰にでも言いたかったの」

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(身障者のTVを見て)

「お父さんがあんなになったら、私、別れるよ。それが、のりみたいにぴたっと貼りついて、一歩歩いたら一歩ついていって」

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「ライフ(近所のスーパー)へ連れて行って下さい。向こうに着いたら、泳ぎに行きますから」

2007.6.29

(貰ったイカ明太を食べて)

「私が食べる姿を楽しそうに見ていました、と(手紙に)書いておこう。きっと幸せだったのでしょう」

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(寝る時に)

「後ろに寝て、私の後ろに、オムツして寝て」

「俺もオムツするの」

「そう」

2007.6.30

「私、75以上になったら生きらんでいいよ。ほっといていいよ」

2007.7.1

「○○(息子)の名前を一生懸命考えてるんだけど、変えるなら、しっかり考えてやらないと」

2007.7.4

「お茶は自分で入れるもんじゃないね。人の入れてもらった方がおいしい」

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「モモちゃん(犬)、○○兄ちゃん(従兄)来てもらってよかったね」

「俺、○○兄ちゃんじゃないよ」

「あっ、お父さんに似た○○兄ちゃんだ」

2007.7.7

介護百人一首をNHKが募集

「お母さんも作ったら」

「食べたのに、まだ食べてないと、またねだる」

2007.7.12

「ヘンな夢ばかり見てる。お化けばかり出て来る」

2007.7.24

「ごはんもう少しちょうだい」

わけてやると

「ありがとう、優しいね、お父さん。私だったら、私の分がなくなるからあげられませんと言う」

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「あれ、今日、○○くん(息子)の誕生日じゃない」

「よく覚えてたな、俺、忘れてたよ」

「私、○○くん、愛してるから」

(息子の誕生日は723日)

2007.7.26

「私、よくなったら、私の言うこと聞いてね」

2007.7.27

(パット交換の時)

「ああ、良かった。自分でやるのいやだなと思ってたの」

2007.7.28

「この番組(風林火山)を見るといつもお父さんをソンケーしてるの。古いことちゃんと書いて、一時間あきさせないで見せて」

※そんな尊敬されるようなライターじゃないのに。儂が書いたと思い込んでいる。

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「家に帰ったら、ブルーの水(酒)飲ましてね。じゃこれから車の中で寝ていくから安全運転でお願いします」

2007.7.29

「雷こわいよ」

「子供みたいな」

「子供だよ。お父さんにくっついてしか寝れないから。この頃いっしょに寝てないね。今夜寝る?」

2007.7.31

「起こして」

「起きてどうするの」

「帰るの」

「どこへ」

「自分の家へ」

「ここが自分の家だよ」

「違う、違う」

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「ミカンとリンゴ買ってあるから、自分の家帰るの」