本日8日午前、妻退院。お迎えに立ち会う。コロナ禍なので我々は病棟の食堂までしか入れない。リクライニングの車椅子で運ばれて来る。ここで家族と特養の職員に説明がある。5泊6日の入院だった。その間絶食で点滴だけだったので心なし生気に欠ける印象。話しかけると返事はするのだがマスクもしているので声も力が弱く何と言っているかよくわからない。儂が誰か聞いたらかろうじて「ヒロアキ兄ちゃん」と聞こえる。儂にしてみればまた出たか「ヒロアキ兄ちゃん」だが、特養の職員さんが入院前は「旦那さんの名前ばかり言ってましたよ」と慰めてくれる。何か食べたいかと聞いたらかろうじて「ウイスキー」と聞こえる。
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暫く会えないので握手する。いっぱい点滴したので痣が一杯。特養の車で帰って行く。今度握手が出来るのはいつになるだろう。出雲のコロナが余りにも凄いのでガラス越しの面会も2週間中止して様子をみるとのこと。オンライン面会は出来るので娘だけが頼みだ。来週、孫の顔を見て楽しい面会をしてくれたらよいのだが。

語録(36)
実はこの語録2006年の1月6日から始めたのだが2010年になってついに力尽きてしまうのである。
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こんな小さな手帳を常に手元(ダイニングのテーブルの上)に置き、妻の言葉を書き留めておいたのである。始めた頃は使命感もあり、病で身体のみならず脳にまで障害を負いながらも懸命に生きている証を何としても残したいと必死にメモし続けていたのだが、2年目まではその意気込みも続いたのだが3年目に入ると徐々に書き留め続けることがしんどくなってきて、それ以降はどんどんペースが落ちてしまって、2010年の1月はさすがにこれではいかんと気合を入れたので少しだけ持ち直したが長くは続かずついにこの年の途中で力尽き、手帳が途絶えてしまったのである。語録(36)は手帳最後の語録です。

2010.1.2

おむつ交換をしていると

「お父さん、どこへ行っても生きて行けるね」

2010.1.5

「お父さん、ここに替わって寝てて」

2010.1.6

俺「ランプがどこにあるかわからん」

「よその家はわからないもんねえ」

俺「ここは自分の家だよ」

「よその家に来るのは楽しいね」

2010.1.20

「自分でさっと出して食べるよ」

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「働いたらおいしかった」

2010.1.21

「まねき猫ダック。くだらないTVみてると、あんなの覚えちゃう」

2010.1.25

俺「モモももうろくしたのかな」

「もうひち」

「えっ?」

「もうろくじゃなくてもうひち」

※こういう言葉遊びはぱっと出て来る。

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「しばらくあわなかったうちに年取ったね」

※毎日いやというほど顔を合わせているのに。

2010.1.27

「お父さんが死んだら私はとなりに葬ってもらう。一緒でもいいよ」

2010.1.30

「私が死にそうになったらモモを抱かせてね」

「モモかね」

「あんたでもいいよ」

2010.2.7

「ごはん食べるだけが仕事でごめんなさい」

2010.2.17

「お父さんがガンになったら、私、泣くよ」

2010.2.18

「川尻の裏の川に座っていたら落ち着くの。ぼーっとね。時々舟が通ってね」

※懐かしい故郷の風景。

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「親切を小出しにしているお父さん。そんなあなたに私は感謝」

※このおかしな言い方がたまらくなくいい。

2010.2.26

「私、こんなところに連れて来られたら一人で帰れない」

2010.3.4

「お父さん、まめねえ」

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夜、突然目を覚まし

「お父さん、早く行ってよ。〇ちゃん(娘)が友達を連れて来るから」

2010.3.7

「私、死ぬ夢よくみるの。お父さんの横で死ぬの。朝になって、お父さんが発見するの」

2010.3.20

「ミルクくれ」「もうない」「魔法使って出せ」

2010.4.16

「おぞうにじゃないのね。けんちん汁なのね」

(正月のつもりでいる)

2010.4.19

「おっぱい絞ると気持ちいいよ。重いのが軽くなって。肩が軽くなるよ」

2010.4.21

(おむつを替えていると)

「ずいぶん真面目な顔をしてるのね」

2010.4.22

「今日パパちゃんが来るんだよ。どんな人だろうねえ」

2010.4.29

(何かの世話をしている時だと思う)

「お姫様みたい」

2010.5.7

「お父さん、泣かないでね。私が泣くから。パパちゃん、来たら、私、言おうと思ってるの。〇子(妻の母)迷惑かけたなぐらい言えと。そう言わしたら、泣くよ」

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手帳にメモしたのはここまで。
次回からは一旦途切れて再開したところから続けます。